フレンチコネクション

フレンチコネクション(1970 米国映画)
 お話は麻薬担当刑事が大物ギャングを逮捕するまでの極めてシンプルなもの。しかしこれは映像で話を語る数少ない優れた作品でなんである。冒頭10分くらいは、街のチンピラの生活から彼が殺し屋に消されるまでの映像が台詞も音楽も無く淡々と続く。それだけで話しに引き込まれてしまうのだから大したものである。しかもカメラワークに工夫があって街中の尾行のシーンでは移動しながらズームを多用し迫力を出している。極めつけは有名なカーチェイスのシーンだろう。これも車から撮った映像と外からの俯瞰図を旨く組み合わせている。
 一方静止した場面では対比が効果的だ。例えばギャングが高級レストランに入って食事をする。どうも「おまかせ料理」では無くて、食べてる途中にあれこれ注文をしている。それもアミューズとかいう「箸休め」みたいな感じで実に美味しそう。メインはローストビーフをゆっくり切り分ける。デザートもコンボから選んでいる。そのテーブルの脇の窓をパンニングしていくと街路で刑事が張っている。しかも無茶苦茶寒そうである。ニューヨークの寒さを描いてもこの作品は第一級であるのだ。さてその刑事に仲間が差し入れを持ってくる。それは「冷えたピッザ」と「不味そうなスープ?」。この対比が素晴らしい。このシーンは余程有名らしく、池波正太郎氏のエッセイにも「映画ファンならたまらないシーン」として取り上げられている。また豪華なホテルの設えと廃墟と化したビルなど随所に対比の妙の片鱗が見える。一方ではナイトクラブでのライブシーンでは3人の黒人女性グループがこれまたシュープリームスそっくりで、1曲丸々を披露するのだから恐れ入る。
 室内は虚構に満ちており、屋外は寒々とした無味乾燥の建物を延々と舐めるように撮る。ドン・エリスの音楽は不協和音の連続で大都会の異様さを更に助長しており、そこにある恐怖(ある意味ホラー映画に通じる)を醸し出すことに成功している。
 監督のウイリアム・フリードキンはこの調子で次作「エクソシスト」(1973)を撮ったのだから観客は堪まらなかったろうなあ。文字通り恐怖のどん底に叩き込まれたに違いない。
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Author:JASON
はじめまして。JASONと申します。ホラー映画が大好きで放映される作品は大概録画して観ています。時間が許せば劇場にも足を運びますが、ことホラー映画に関して言えば米国で公開された数の十分の一くらいしか我が国で公開されないのが残念です。因みにハンドルネームのJASONは御存じ13金のシリーズから取ったものです。さて小生の他の趣味ですが楽器では習い事レベルですが、クラシックのヴァイオリンとジャズピアノを奏します。またカクテルに興味があり、冬はマンハッタン、夏はマルガリータなどを作って楽しんでいます。更に ホームページギャラリー「チェリーとジャンヌ」を公開中です。黒猫チェリーと白猫ジャンヌが登場するイラストストーリーとギャラリーの二本立てになっています。見て頂いた方々のご感想や意見交換などをホームページつくりに反映していきたくよろしくお願いします。なお、URLはhttp://parnassum.web.fc2.com/です。

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