レッド・ヴァイオリン

(JASON通信アーカイブ その9)
レッド・ヴァイオリン(2000年6月にWOWOWにて視聴)
 1998年のカナダ・イタリア合作作品。監督は「グレン・グールドの32の断章」なる怪作をものにしたフランソワ・ジラール。ニューヨークで開催されている楽器オークションから物語りは始まる。その日の最後に登場するのが「レッド・バイオリン」であって、それに纏わる人々が会場に集い、お互いに競り合うという設定である。
 楽器の生い立ちはこうだ。バイオリン製作者の妻が子供を産む前にタロット・カード占いをする。そして占いどおりに母児共々死んでしまうのだが、その代わりに「レッド・バイオリン」が誕生するという訳。そのタロット・カード占いが一種のガイドとなって、その後様々な歴史の中で「レッド・バイオリン」がどう振る舞うかがエピソードとして語られていく。血の色をしていると言い伝えられているこの楽器は、歴史上、激動の時代に登場しては消えて行く。音楽を愛する人たちと世間との関わり合いを中心に運命の不可思議さ、哀しさが語られていくのである。
 勿論「レッド・バイオリン」の生まれたのは中世イタリア(多分クレモナ?)であり、ヨーロッパ中心にお話は展開するのだが、近世になると毛沢東時代の中国に移り、これまた興味深い(というかどことなく懐かしい)内容である。物語の全貌が徐々に分かってくると極めて良く出来た作品であることが判明する。演出の手腕もさることながら、映像が実に美しい。ヨーロッパ映画なんだからというだけでは済まされない画面構成など非凡な才能が随所に発揮されている。また、音楽が凝っていて、全てオリジナルなのだが、同時代の「パガニーニ」や「バッハ」などの作品を強烈に意識した曲想にはただただ脱帽モノである。
 更に物語後半に登場する黒人のアンティークの鑑定者が様々な角度から、「レッド・バイオリン」を分析、解析、鑑定するのであるが、この人が過去どのようにこの楽器と関係してきたかは、一切語られないのだ。ここんとこはミステリアスであり、未解決のまま作品は終わる。旨いですなあ。まいりました。
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Author:JASON
はじめまして。JASONと申します。ホラー映画が大好きで放映される作品は大概録画して観ています。時間が許せば劇場にも足を運びますが、ことホラー映画に関して言えば米国で公開された数の十分の一くらいしか我が国で公開されないのが残念です。因みにハンドルネームのJASONは御存じ13金のシリーズから取ったものです。さて小生の他の趣味ですが楽器では習い事レベルですが、クラシックのヴァイオリンとジャズピアノを奏します。またカクテルに興味があり、冬はマンハッタン、夏はマルガリータなどを作って楽しんでいます。更に ホームページギャラリー「チェリーとジャンヌ」を公開中です。黒猫チェリーと白猫ジャンヌが登場するイラストストーリーとギャラリーの二本立てになっています。見て頂いた方々のご感想や意見交換などをホームページつくりに反映していきたくよろしくお願いします。なお、URLはhttp://parnassum.web.fc2.com/です。

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