ルドンとその周辺―夢見る世紀末

ルドンとその周辺―夢見る世紀末(三菱美術館)
 このブログはホラー映画がメインであるが最近その話題が無い、とのお叱りを受けそうなので少しは関連があるかも?知れぬ「ルドン展」なる美術展を採りあげてその代わりとしたい。
 オディロン・ルドンは19世紀後半にパリで活躍したがその画風は同時代の印象派などとは大分に異なる。ある意味シュールレアリスムを先取りしたような怪奇幻想の趣があるのだ。   
 小生は子供の頃に戦後初来日した「ルーブル美術館展」でルドンの「夢魔」に出会い強い印象を受けた。続いて1989年に竹橋の近代美術館で開催された「ルドン展」でその全貌を初体験した。その時の印象は今までに見たこともない「黒」であった。それは漆黒を通り越した異世界の「黒」なのであった。そして今回は色彩豊かな作品が彼の真骨頂では全くないことを再認識した。
 とまあ様々なルドン体験?をしてきた訳だが、小生の好みは一連の石版画集であるエッチング(もしくはリトグラフ)の作品である。題材からして人間の顔を花としてを咲かした植物とか目だけを強調した異様な生物とか、とにかく怪奇幻想(即ちホラー映画の造形に通じる)の佇まいは実に素敵で堪らない。オーブと思われる物体が浮遊していたり、人の肩越しに顔があったり、きっと彼は「霊魂」を実際に観たり体験したりしているのだと推察して仕舞う。そして漆黒の黒は画面構成が精緻を極め白とのコントラストが極大にまで拡大してこそ為し得た世界の黒なのである。反面色彩作品では題材を人物や動物に求め何とも詰まらない作品に終わっている。尤も一連の花の作品は分かり易く?好ましいものではあるのだが。
 さて本展覧会の作品140点余りの殆どが岐阜美術館所蔵のものだという。但し、一点だけ「グランブーケ」なる巨大な作品は仏男爵から三菱美術館が取得し110年振りに公開された作品である。今回の展覧会の企画意図はグランブーケの初公開にあったというが、それにしてもルドン以外の作家を「周辺」ということで付加するのは統一感が無くなってよろしくない。というか早い話ルドンの作品以上の逸品もかなりあるわけで「周辺」の弊害も計り知れぬ。
 とはいえこの三菱美術館のユニークな構造も含め今回の展覧会でルドンを再体験できた価値は非常に高いものと認めざるを得ない。(3月4日まで)
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テーマ : 美術館・博物館 展示めぐり。
ジャンル : 学問・文化・芸術

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No title

2010年の9月頃、横浜美術館でポーラ美術館コレクション展というのが開催され、印象派とエコール・ド・パリが中心だったのですが、ぼくが釘付けになったのはルドンでした。「日本風の花瓶」という絵なのですが、この「グランブーケ」の姉妹作品ではないか、というような作品。花瓶の花に蝶が舞っている。この絵があまりにも美しい。当時の感想でも、これをピックアップしています。
http://blog.livedoor.jp/dick21/archives/51863707.html
絵葉書も買ってあって手元にあります(笑)
だから三菱一号館のこの展示へ行きたかったのですが、2月下旬は心臓の調子が悪いことが多く、確定申告が面倒だったこともあり、結局見逃してしまいました。

ルドン展

ディックさん

コメントありがとうございます。

ルドンの作品はどこか人を惹き付けて止まない不思議な
魅力に溢れています。

今回の展覧会は昨年から浜松→京都→東京と巡回して
三菱美術館が最後になってました。

とはいえ岐阜県立美術館に行けば観られる(??)わけ
ですからやや安心ですね。

唐突ですが…

美術展関係の話題ということで、ここへコメントを入れさせてもらいますが、森美術館の『イ・プル展』を見にいって、見始めてすぐイメージしたのが JASON'S GALLERY の絵の数々。出発点は似たような描き方の絵なのですが、韓国のアーティスト、イ・ブルの制作姿勢は、立体化するときにSFやアニメのイメージに囚われ、イメージの本来の奔放さを失っている。これならプロではないアマチュアの友人の描いた JASON'S GALLERY のほうがおもしろくて楽しめる、というような内容の感想でして、リンクをはって JASON'S GALLERY を紹介させていただきます。

No title

ディックさん

JASONです。

ご紹介ありがとうございます。

ブルトンの「溶ける魚」にはまって一年。
未だ抜け出せそうにありません。
文学作品というより味わいが音楽、料理、などに近い
と感じてます。

ぜひ一度読まれることをオススメします。
プロフィール

JASON

Author:JASON
はじめまして。JASONと申します。ホラー映画が大好きで放映される作品は大概録画して観ています。時間が許せば劇場にも足を運びますが、ことホラー映画に関して言えば米国で公開された数の十分の一くらいしか我が国で公開されないのが残念です。因みにハンドルネームのJASONは御存じ13金のシリーズから取ったものです。さて小生の他の趣味ですが楽器では習い事レベルですが、クラシックのヴァイオリンとジャズピアノを奏します。またカクテルに興味があり、冬はマンハッタン、夏はマルガリータなどを作って楽しんでいます。更に ホームページギャラリー「チェリーとジャンヌ」を公開中です。黒猫チェリーと白猫ジャンヌが登場するイラストストーリーとギャラリーの二本立てになっています。見て頂いた方々のご感想や意見交換などをホームページつくりに反映していきたくよろしくお願いします。なお、URLはhttp://parnassum.web.fc2.com/です。

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