季節の音楽(長月 その3)

季節の音楽(長月 その3)
 (長月 その3)は「Y課長のコンピューターによるバッハ」を取り上げる。その昔にワルター・カーロスというシンセサイザー奏者が居た。オリジナルの作曲は余り無かったようで、1960年代から自作のシンセサイザー「モーグⅢ」を駆使して色々と試行錯誤を繰り返した結果、辿り着いたのがバッハの作品であった。確かコンピューター・バッハとか言う題名だったと記憶する。シンセサイザーとは電子音を出す機械をコンピューターで制御して色々な音を出す仕組みである。当然コンピューターにはデータを打ち込む必要があり、楽譜を解読して行う。シンセサイザーそのものにも音色始め色々と工夫がなされるという寸法である。
 閑話休題。20年も昔の話であるが職場である研究所の内覧会が企画された。様々な研究成果を「デモ」という形で披露することになったのだが、小生の課は「テレビ美術館」と銘打って当時は大画面である37インチの高精細度モニターに絵葉書をスキャンした静止画像を流した。絵は主にデュフィなどの印象派であったが問題は「音」である。一枚一枚に一定時間のBGMを、それも確かマルチチャンネルで流すことにしたのだが、さてその音源に選ばれたのが当時課長であったYさんのコレクション。これは彼自身がバッハの曲をコツコツとデータ化したものであって、これを使ってR社の最新型シンセサイザーを鳴らそうというわけである。殆どが平均律やインベンションとシンフォニアなどから採られていた。しかし、Y課長が使っていたシンセサイザーはこの新しいR社のものとは当然違うし、パートの楽器も異なる。よってここに楽譜を元に一度鳴らしてみて、場合によってはデータ(パート)の変更などをすると言う作業が発生した。即ちそれを担当したのが小生であって、職場、というか実験室の作業台に大々的にバッハの楽譜を広げ、モニターを聞きつつ、作業を進めたのだが周囲の研究所メンバーには極めて異様な光景に写ったことは想像に難くない。 
 9月の下旬に開催されたこの内覧会は大成功をおさめたのだが、このテレビ美術館は遂には商品化されずに終わっている。しかし、内覧会の休息室に置かれた37インチのモニターと周囲に流れるコンピューターのバッハは初秋に相応しい「新しい何か」を放っていたことは確かである。
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Author:JASON
はじめまして。JASONと申します。ホラー映画が大好きで放映される作品は大概録画して観ています。時間が許せば劇場にも足を運びますが、ことホラー映画に関して言えば米国で公開された数の十分の一くらいしか我が国で公開されないのが残念です。因みにハンドルネームのJASONは御存じ13金のシリーズから取ったものです。さて小生の他の趣味ですが楽器では習い事レベルですが、クラシックのヴァイオリンとジャズピアノを奏します。またカクテルに興味があり、冬はマンハッタン、夏はマルガリータなどを作って楽しんでいます。更に ホームページギャラリー「チェリーとジャンヌ」を公開中です。黒猫チェリーと白猫ジャンヌが登場するイラストストーリーとギャラリーの二本立てになっています。見て頂いた方々のご感想や意見交換などをホームページつくりに反映していきたくよろしくお願いします。なお、URLはhttp://parnassum.web.fc2.com/です。

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