翼のはえた指・評伝安川加壽子

翼のはえた指・評伝安川加壽子/青柳いずみこ(白水社)
 日曜日はその他のテーマということだが今回は「翼のはえた指・評伝安川加壽子/青柳いずみこ」(1999)を紹介したい。最近は白水Uブックスでリイシューされている。
 著者は安川加壽子の弟子であったピアニスト兼作家。安川加壽子は戦前戦後を通じ我が国のクラシックピアノ界の草分け的存在である。親が外交官であったためにパリに育ち、ドイツが主流であった我が国にフランスのピアノ奏法(考え方)を導入し、その音色やアゴーギグが大変注目されたものだ。従ってラベルやドビュッシーを中心としたリサイタルが多いが、ショパンもまた得意としていた。
 戦前の日本各地を演奏旅行して回ることが自らの試練訓練と考え、様々な困難にぶつかっていった。戦後は教鞭を執ることが多かったそうだが、それでも第一線で活躍していた。彼女を知る人々は明るく元気一杯というイメージだそうだ。ピアニストであることも大変だが、結婚して3人の育児をして、沢山の弟子達の面倒を見て、様々なコンクールの審査もこなすという超ウルトラ・ウーマンなのである。その秘密はフランス仕込みの「合理性」にあったという。日本人の大の苦手であるこの合理的精神により物事をてきぱきと切り盛りできたというわけ。 
 著者は彼女の側面を時代と共に描いており、それが読者の共感を呼んでいる。死に至るくだりは悲痛であり壮絶であるが、綺麗事に終わらぬ作者の視線が感じられて迫力満点である。
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Author:JASON
はじめまして。JASONと申します。ホラー映画が大好きで放映される作品は大概録画して観ています。時間が許せば劇場にも足を運びますが、ことホラー映画に関して言えば米国で公開された数の十分の一くらいしか我が国で公開されないのが残念です。因みにハンドルネームのJASONは御存じ13金のシリーズから取ったものです。さて小生の他の趣味ですが楽器では習い事レベルですが、クラシックのヴァイオリンとジャズピアノを奏します。またカクテルに興味があり、冬はマンハッタン、夏はマルガリータなどを作って楽しんでいます。更に ホームページギャラリー「チェリーとジャンヌ」を公開中です。黒猫チェリーと白猫ジャンヌが登場するイラストストーリーとギャラリーの二本立てになっています。見て頂いた方々のご感想や意見交換などをホームページつくりに反映していきたくよろしくお願いします。なお、URLはhttp://parnassum.web.fc2.com/です。

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