重要証人

重要証人/スティーブ・マルティーニ(集英社文庫)
 今回は古いミステリィで恐縮だが1993年発行の「重要証人」を取り上げる。この手の本としては珍しく相当な版を重ねているから、大きな本屋には必ず有る(と思う)。
 お話はこうだ。米国で男女ペアかつ残虐な連続殺人が発生する。成り行きで弁護士から臨時?検事になった主人公が事に当たる。犯人は意外にも見つかりカナダに逃走していたが捕まえる事に成功。実は本作は犯人探し(では有るのだが)がメインでは無い。殺人犯を弁護する悪辣弁護士と主人公との法廷サスペンス(リーガル・サスペンス)なのだ。しかし、カナダに逃走中の犯人を引き渡す為の書類が無能なスタッフの為(いわゆる書類不備ですな)に効力を失い、一度取り逃がしてしまう。つまり主人公周辺の人間模様がこの作品のリアリティを高めている。組織で仕事をした事のある人間なら身につまされることだろう。
 主人公の戦略は何時でも明確明快なのだが、悪辣弁護士は意外な手を打ってくるので読者はハラハラどきどきとなる。この辺りのバランスが旨い。作者の表現には一種の形式みたいのがあり、状況を喩えて表現する。「なになにのようであった」とか「結局は破局を手に入れたも同然」とか。
 これは最初のうち非常に鼻に付いて仕方が無かった。しかし、読み進むうちにツボに嵌まるとこれが絶大な効果を生んでくる。「変化球ばかりの投手がその味を発揮したピッチングをしだし、打者を翻弄した」という訳である。まあ傑作でしょうな。犯人も殺害方法も最初のうちに割れているのだが、法廷ではどのように決断されるのか判らないという巧みな構成に脱帽ものである。
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テーマ : ミステリ
ジャンル : 小説・文学

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Author:JASON
はじめまして。JASONと申します。ホラー映画が大好きで放映される作品は大概録画して観ています。時間が許せば劇場にも足を運びますが、ことホラー映画に関して言えば米国で公開された数の十分の一くらいしか我が国で公開されないのが残念です。因みにハンドルネームのJASONは御存じ13金のシリーズから取ったものです。さて小生の他の趣味ですが楽器では習い事レベルですが、クラシックのヴァイオリンとジャズピアノを奏します。またカクテルに興味があり、冬はマンハッタン、夏はマルガリータなどを作って楽しんでいます。更に ホームページギャラリー「チェリーとジャンヌ」を公開中です。黒猫チェリーと白猫ジャンヌが登場するイラストストーリーとギャラリーの二本立てになっています。見て頂いた方々のご感想や意見交換などをホームページつくりに反映していきたくよろしくお願いします。なお、URLはhttp://parnassum.web.fc2.com/です。

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