ポーをめぐる殺人

ポーをめぐる殺人/ウイリアム・ヒューツバーグ(扶桑社ミステリー)
 今回は少々古いが表記の文庫本を取り上げる。堕ちた天使(falling angel)でデビューし、それをてめえ自身で脚色した映画「エンジェル・ハート」でつとに有名となったヒューツバークの1994年の作品である。舞台は20世紀初頭のアメリカ。あのコナン・ドイルが心霊に関する講演の為、イギリスからやってくる。当時観衆は熱狂的に歓迎し、講演会はどこも超満員だったという。そこに世紀のマジシャン、フーディーニが登場し、お互い交流を深める(心霊とマジックなんて極めてお洒落ですよねえ)。そうこうしている内に彼等の居るフィラデルフィアで連続殺人事件が発生。なんとエドガー・ア・ラン・ポーの作品そっくりに起きるのだ。つまり狒狒(ひひ)は走るは、壁には塗り込められるは、といった具合に。 
 初めは何の関連も無かった事件だが、殺されたのはフーディーニに関わっていた人々だったことから、俄然白熱してくる。イリスなる謎の美女は登場するは、間抜けな警部が事件の共通性(つまりポーの件)を発見するは、格好付けたがる新聞記者が車を飛ばすは、もう大変な騒ぎ。おまけにドイル先生の前にはあろうことかポーの幽霊まで出没する有り様。これらの人物の生き生きした表情に加え、今世紀初頭の風俗、流行などが「フォレストガンプ」の如く描かれる。もうそこはジャック・フィニィの世界でもあるのだ。
 しかも全32章の章題には古今東西の著名な作品(小説)のキーワードを配しており、凝りに凝った構成に成っている。最初は余りに古風な出だしでなかなか馴染めないが、一度嵌まるとさあ大変、そのジェットコースター的な展開に酔いしれてしまうこと請け合いである。マニアならずとも楽しめる異色作である。
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テーマ : ミステリ
ジャンル : 小説・文学

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Author:JASON
はじめまして。JASONと申します。ホラー映画が大好きで放映される作品は大概録画して観ています。時間が許せば劇場にも足を運びますが、ことホラー映画に関して言えば米国で公開された数の十分の一くらいしか我が国で公開されないのが残念です。因みにハンドルネームのJASONは御存じ13金のシリーズから取ったものです。さて小生の他の趣味ですが楽器では習い事レベルですが、クラシックのヴァイオリンとジャズピアノを奏します。またカクテルに興味があり、冬はマンハッタン、夏はマルガリータなどを作って楽しんでいます。更に ホームページギャラリー「チェリーとジャンヌ」を公開中です。黒猫チェリーと白猫ジャンヌが登場するイラストストーリーとギャラリーの二本立てになっています。見て頂いた方々のご感想や意見交換などをホームページつくりに反映していきたくよろしくお願いします。なお、URLはhttp://parnassum.web.fc2.com/です。

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