季節の音楽 水無月

季節の音楽 (水無月)
 季節の音楽(水無月)は「悲しき雨音」を採りあげる。この曲は人気ポップスグループカスケーズの1963年のヒット曲。カスケーズとは米国カリフォルニア州サンディエゴ出身で、メンバーはジョン・ガモー、エディ・スナイダー、デイヴ・スティーヴンス、デイヴ・ウィルスン、デイヴ・ザボの5人組である。ガモーの爽やかなリード・ヴォーカルが特徴でオールデイズの定番曲である。カスケーズとは滝のように流れるという意味で用いられることが多い。マントバーニー楽団をして「カスケーティング・ストリングス」などと表現するのも同じである。その意味でも「悲しき雨音」はグループの名前との相乗効果(雨と流れる)をあげて大ヒットにつながったと見るムキも多い。
 「悲しき雨音」は作詞作曲がガモー自身であり原題が「リズム・オブ・ザ・レイン」といって雨音そのもの。雨音を聞くと去って行った彼女が思い出される。この想いも雨音とともに消え去って新しい日々が来ることを願う・・みたいな結構未練がましい唄なのだが曲想はあくまでも明るく、しかも実際の雨や雷の音を入れた音響効果とエコーが効いていてなんとなく今までとは違った曲という感じがしたものだ。わが国ではプロモーションよろしく1963年の梅雨時にヒットした。
 その頃AMラジオの2局(二つの違った放送局)でステレオ音源の左右のチャンネルを夫々流し、ラジオ2台でステレオ音楽を楽しむという方法が時折実験的に行われていた。丁度梅雨時の日曜日の夕方かなんかにその放送があって流れてきたのがこの「悲しき雨音」だったのだ。前述の如く音質や音響に拘った当時としては画期的なこの曲がステレオ効果満点で聞き取れたことは言うまでもない。
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テーマ : 今日の1曲
ジャンル : 音楽

カリスマ・ドッグ・トレーナー

カリスマ・ドッグ・トレーナー
 今回はアメリカのテレビ番組を採りあげる。ジャンルとしてはカウンセラー番組に分類されるのだろうか。ナショナル・ジオグラフィック・チャンネルなるケーブルテレビのプログラムの一つなのだが、何故かわが国ではBS-FOX(9月まで無料)でも放映しているのでBSの受信設備があれば誰にでも観られるある意味恵まれた環境にある。
 飼い犬に関するカウンセラー番組なのだが、番組の原題を「Dog Whisperer」ということから分るように、これは飼い主の側からではなくあくまでも飼い犬をすべての原点とする(飼い主の)カウンセラー番組なのだ。
 飼い犬が突然凶暴になった、まったく懐かない、使用人に噛み付く、などのトラブルに始まり、時には動物局のメンバーと一緒に街に繰り出し野犬化一歩手前の犬を救出するなど実に多種多様な八面六臂の活躍をするのがホストのシーザー・ミランだ。結局は飼い犬に対して「散歩をさせる」「運動を欠かせない」「人間が主人だと言うことを納得させる」あたりが飼い主としてきちんと出来てないと様々なトラブルが発生すると説く。特に飼い主自身にトラウマや精神的不安要素があるとたちどころに飼い犬たちに察知され「主人は誰なの?」という状況に陥る。
 一方、飼い主たちが何時までも同じ状態であるはずは毛頭無く、子供は成長するし、大人はどんどん歳を取る。病気もするし事故にも遭う。そうした状況下で家庭(つまり飼い主)が思いもかけない事態に陥ると精神面を保つのが難しくなり、結果飼い犬に大きな影響を与えると言うことになる。勿論もともと欠陥のある人間たちも大勢居る(犬たちにとっては大迷惑だ)。
 シーザーのコンセプトは明快だ。「犬たちを躾け直すことは殆ど無いが飼い主を調教する余地は多分にある」。彼が犬たちに対する態度はそのまま飼い主たちにも向けられるから高圧的だと思われる輩も居るかもしれない。しかし彼が高圧的にならざるを得ないほど飼い主たちが「柔くて」「だらしがなくて」「信用ならない」のも事実なのだ。ここにきて我々はこの番組の本質に辿り着く。つまり我々の「日々の生き方」がいかに「ネガティブな要素が多い」のかを知ることになるのだ。大袈裟に言えば相談を受ける飼い主を通じて生き方の真髄に触れるといったところか。またそうしたトラブルの原因究明のプロセスが謎解きとして面白いのだが、結果的にその家庭の「闇の部分」が白日の下にさらされるわけで、飼い主にはその覚悟が必要とされるのだ。
 とにかく様々なケースが紹介されるからアメリカの(中流)家庭の有様が分って実に興味深い。同時に飼い犬たちは正に家族の「鏡」なのであって、これが親子関係やビジネスの上司と部下の関係、など様々な人間関係に応用できそうである。
 ということで今までに無い全くユニークなカウンセラー番組として注目されて良いだろう。尚、わが国ではシーズン3が放映中だが現在アメリカで放映中のシーズン9で終了が決定されたそうだ。

テーマ : ドキュメンタリー
ジャンル : テレビ・ラジオ

エルンスト展

エルンスト展~6月24日まで。横浜美術館にて開催。
 マックス・エルンストはシュルレアリスムの巨匠である。コラージュ、フロッタージュなどの斬新な手法を始め、題材もユニークでJASONのフェイヴァレット・アーチストの一人である。前回は1977年に兵庫県立美術館で観ているから実に35年ぶりである。それほど開催の機会が少ない作家なのだろうか。
 今回は「フィギュア」という切り口で彼の作品を展示しているが、残念ながら全てが傑作という訳にはいかぬ。前述の手法の様に彼自身が筆を採るというより、誤解を恐れずに言えば「借り物」で構成した作品に傑作が多いのは皮肉かも知れない。通俗新聞の挿絵を切り抜いて作った作品(百頭女、慈善週間など)はまさにコラージュロマンに相応しい素晴らしさだ。今回はその「原画」が幾つか展示されていて白眉であった。一方、木目の「魚拓」ともいうべきフロッタージュはその文様を「森」と見立てて実にファンタスティックな絵画に昇華せしめている。
 そうした斬新な手法に拘るあまり、肝心の絵画のコンセプトに掴みどころが無くなるのはある意味仕方の無いことなのであろう。ひょっとして彼自身それをして自覚をした上で自虐を意図しているのかもしれない。その所為かエルンストの全貌とか特徴とかを問われたら彼は「その行為はむなしい。私は手法に拘ったのであってそこからのコンセプトは鑑賞者自らが構成して欲しい」などと応えるかも(あくまでも筆者の私見です)。だから小生にとって彼自身が絵筆を採った作品にはどうも入り込めないし関心を惹かれない。
 その昔かれこれ40年前になろうか。シュルレアリスムに関して意気投合した友人と同人誌を(一冊だけだけど)編纂したことがある。その誌名はDEM(デム)といって、ダリ、エルンスト、マグリットを捩ったものである。つまりシュルレアリスムの御三家をこのお三方に限定した訳である。しかしエルンストだけはその展覧会が極端に少ないことをみても他の画家に比べ極めて「一般的」で無い(つまりウケ無い)ようである。その意味でも今回の展覧会は極めて有意義であって評価されるべきものだと思う。一方、今回の出展の殆どが国内の美術館やコレクターからというのは何か理由があるのかと邪推してしまった。

テーマ : ギャラリー展示案内
ジャンル : 学問・文化・芸術

パラノイア創世記

(JASON通信アーカイブ その8)
パラノイア創世記(荒俣宏 ちくま文庫 絶版) 1993年付
 現代の奇人にして鬼才、天才の異名をとる荒俣宏がまたまた贈る珍妙なエッセイ。パラノイアとは訳すと偏執狂、つまりはマニア、今風に言えばオタクの事。創世記ということはそう、かの大昔にもオタク族がりっぱに存在していたのだ。しかも彼等の時代は人と人との繋がりが薄く、情報網にも限りがあり、生活が貧困でも(つまりお金を生活以外に投入できたという事)別段何の差支えも無く、つまりはアブない人が結構暮らせた環境というものが整っていた(?)からして、そのパラノイア振りは半端じゃあ無い。自らのやりたい事柄をとことん追求したから、とんでもない事件、物件、案件に人権、番犬迄も加わってはちゃめちゃな騒動が持ち上がってしまっていたのである。しかし現在それらの資料は殆ど残っていない。昨今の芸能ニュースに比べたら本当に驚天動地の内容なのに、それほど騒がれないのは「あまりにバカバカしい」のと「のんびりしたコンセプト」の為かも知れない。博物学なる新学問を構築した著者が過去のこうした事例を殆ど埋もれてしまっていた膨大な資料から掘り起こし、検証し、収集して出来あがったのがこの本なのである。
 著者がこの本をしたためた理由は以下の如し。巣鴨精神病院のカルテから、ある患者が「横に読むと独語に読め、縦に読むと業書(日本語)に読める全く新しい言語」を発明した記録を観て、最も創造的な作業が精神の安定性を欠いた状況で初めてなされる事に心底感動したからだという。そしてここの病院長は(大正の時代と思われる)患者のカルテを几帳面に整理して後世の役に立てようとしたほんま立派なできたお方だったらしい。精神病院を監獄から解放したことでも有名だそうだ。古今から言われている狐憑きや発狂という異常な症状を医学的にきちんと検証し、肉体的欠陥(動脈血栓とか)に結びつけて治療しているのだから、迷信の渦巻く時代ではさぞかし大変なことであったろう。
 さて本書ではこうした病院長の例の他に、テスラーコイルで知られる「ニコラス・テスラ」も登場する。この人はあまりの天才の為エジソンの迫害に遭って埋もれてしまった事は余りにも有名である。しかるにエジソンの直流に対して彼の唱える交流のお蔭で現在の我々の生活があるのだから面白いものである。ただ彼も交流理論から、エネルギーの空間伝送にまで考えを広げた為に、大衆がついていけなくなってしまい、晩年はある意味で不幸な人生を送ったという。また彼はエジソンとの経験から論文発表を全くせず、大量のメモ書きが残っているだけらしいが、実のところこうしたメモは当局が彼の死後直ちに封印してしまった為、公にはなっていないのだ。かのフィラデルフィア・エクスペリメントに関係しているという噂なのだが。
 とまあこうして昔の奇人変人を集大成しているのである。時代もおもしろいし、人間もおもろい。これらのパラノイアの面々は社会のシステムがそれほど完備してないが為に全てを一人で切り盛りして、結果として社会とのバランスが一見とれていたが故にかろうじて存在が許されていたのである。現代ではとーてい無理な話である。

テーマ : エッセイ/随筆
ジャンル : 本・雑誌

プロフィール

JASON

Author:JASON
はじめまして。JASONと申します。ホラー映画が大好きで放映される作品は大概録画して観ています。時間が許せば劇場にも足を運びますが、ことホラー映画に関して言えば米国で公開された数の十分の一くらいしか我が国で公開されないのが残念です。因みにハンドルネームのJASONは御存じ13金のシリーズから取ったものです。さて小生の他の趣味ですが楽器では習い事レベルですが、クラシックのヴァイオリンとジャズピアノを奏します。またカクテルに興味があり、冬はマンハッタン、夏はマルガリータなどを作って楽しんでいます。更に ホームページギャラリー「チェリーとジャンヌ」を公開中です。黒猫チェリーと白猫ジャンヌが登場するイラストストーリーとギャラリーの二本立てになっています。見て頂いた方々のご感想や意見交換などをホームページつくりに反映していきたくよろしくお願いします。なお、URLはhttp://parnassum.web.fc2.com/です。

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