パーフェクト・ストーム

(JASON通信アーカイブ その12)
パーフェクト・ストーム(2000年10月7日 梅田東映パラス2)
 現時点で本年(2000年)の米国興行成績のベスト5に位置する大ヒットを達成(興行収入は1億5千万ドルを突破)しながら、我が国ではそれ程話題を集めていない奇妙な?作品。
 最終日の東映パラスは10人も観客が居ないという寂しさである。その理由はこの作品が極めてアメリカ的視点で作られているからであろう。大体大西洋の天気図なんか我が国では別世界の話であり、そこでの漁業といっても学校の社会科の話題にもなっとらんのだ。従ってこうした「付帯条件」のみに敏感な観客にはこの映画の面白さは金輪際判りっこないと思う。 
 開始早々にジェームス・ホーナーのストリングスが朗々と流れる中、港の美しい風景が延々と映し出される。これだけで作品の総てを言い切っている。ジョン・フォードの撮る西部劇、即ちグランドキャニオンとその空の延々と続く映像と同一である。
 監督のウオルフガング・ペーターゼーエンはネバーエンディング・ストーリー等で有名な人。人間ドラマと特撮シーンに全く違和感を感じさせない職人さんでもある。お話は単純である。不漁に悩む漁民が遠い海域にまで足を伸ばすが、その為に帰路で大嵐に遭遇するというもの。大嵐はストーム・オブ・ザ・センチュリーと呼ばれ、ハリケーンや低気圧が合体した今迄に無い強力かつ強大なもの。漁船だけでなく、ヨットも巻き込まれ、その決死の救助も描かれる。大嵐の様子はILMの気合いの入ったCGでこれは大スクリーンでないと味わえない。漁民たち(ジョージ・クルーニー主演)の生きざまも港の人間関係もさらりと描かれいて好感が持てるのだが、これもそうした事柄に馴染の無い観客には物足らないと感じられるであろう。そこには善人も悪人も居らず、従って対決という形式にはならないのでカタストロフィも無い。あるのは大自然の営み(ドラマ)だけである。とにもかくにも良く出来た米国冒険映画でありました。
 尚、上映終了後にトイレに行くと目眩がした。きっと映画のSFXを駆使した大嵐場面の所為かと思ったら実は山陰地方を震源とした地震の影響だった。
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スターウォーズの夏

スターウォーズの夏
 もうかなり昔のことであるが「夏といえばスターウォーズ」という時期があった。今回はその頃の思い出を綴ってみたいと思う。つまりは35年ほど過去にタイムスリップして、第一作当時の状況などを交えながら筆を進めることにしよう。
 当時ジョージ・ルーカスはスターウォーズを制作した後、あまりに今までとは違う作品(多分に子供だましに受け取られると思ってか)からか、公開日には都会を離れて様子を伺っていたというのが有名なエピソードであった。
 多分に版権の問題であったと記憶しているが、全米公開は1977年のサマーシーズン(5月下旬)であるにも拘わらず日本公開は実は1978年夏に延びてしまった事は余り知られていない。予想に反して?全米で一大ヒットとなるや、わが国の配給元である20世紀FOXは、慌てて近未来SF「燃え尽きる世界」(巨大ゴキブリ?!が出てくる愚作。しかもスターウォーズの代わりと銘打っていた)を公開。邦画も勇んで「惑星大戦争」(東映)を短期間で制作公開したのであった。一方特撮円谷の東宝は実は1958年制作(!)の「地球防衛軍」をリバイバル公開している。この判断に小生は少々大袈裟にいえば、いたく感銘を受けたものだ。というのは当時スターウォーズに対抗できる邦画作品はこの「地球防衛軍」以外には見当たらないのが現状だったからだ。
 さて、1977年のアカデミー賞授賞式(1978年春に開催。わが国でもテレビ放映された)はこれまた見物であった。多部門で受賞したから正にスターウォーズ一色であったのだ。こちとらは未だ作品そのものが見られず、大いに欲求不満に陥ってしまったものだ。さて、ようやく観られたスターウォーズであるが、その素晴らしさに感動した小生はじめファンは直ちに「オールナイト興行」に出掛けた。オールナイト、即ち午後10時頃から翌朝5時まで何度でも観るのである。職場(死語か?)の仲間と夜食を携えて観に行く。そして朝は車で帰る(電車が動いてない)というパターンをシリーズ3作とも繰り返したのだから、今考えるとよくもまあ嵌まっていたものなのだなあ、と感慨深いものがある。因みにシリーズは必ずサマーシーズンに公開されたので夏とは切っても切れない関係にあったのだ。
 この作品で映画制作技術に一大変革が訪れたと良く言われる。(余談ながら次の変革はご存じジュラシック・パークである)コンピューター制御のカメラが描く宇宙バトルは特撮サーカスとも言われ、以後同様な作品が続々制作された。しかし、スターウォーズを越える作品が無いのは、このテクニカルな面が全てではなかったことを如実に証明している。ルーカスのマインドは明らかで、デビュー作「アメリカン・グラフィティ」で見せたリアリティへの徹底的な拘わりがポイントなんである。

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ジャンル : 映画

スカイライン-征服-

スカイライン-征服-(2010年アメリカ映画)
 監督はグレッグ&コリン・ストラウス兄弟の侵略SFである。このコンビは前作AVP2(エイリアンVSプレデターのパート2)で見事ずっこけた方々なので「大丈夫か?」という不安と共に観にいったのであるが、最終日の最終回ということもあって大入り満員であった。
 映画は突然エイリアンに侵略された人類の最後の3日間を描いている。破壊のスペクタクル、エイリアンの襲来、なすすべも無い人類、など定番要素は総て守っている。そのコンセプトはSFXチームが見事なまでに「やりたいことをやった」という爽快感に満ち溢れているのだ。
 それはこの作品の成立過程に大いに関係がある。CGやSFXの最先端をいくハイドラックス社は多くの映画のSFXの下請けをしていた。その技術は現時点で最高峰と言って良い。そこで自分たちのやりたいことを実現する映画を自分たちで作ろうということになった。勿論監督のストラウス兄弟はハイドラックス社の生みの親でもあるのだ。スタジオ・ミュージッシャンが自らのバンドを組んでデビューしたSTUFFみたいなものなのだ(古い話題で恐縮ですが)。そうなると作品よりもSFXが先行する、しかも徹底的に進化したSFXを使いそれが活かせる映画を作るということになる。その上自分たちが監督製作脚本を担当するのだから俳優にギャラをかけなければローパジェットが可能だ。そこで先ずはストラウス兄弟の改装したての豪華高層?マンションを撮影に使うことになった。因みに異色作「パラノーマル・アクティビティ」も監督の自宅で撮影されている。撮影場所やらSFXが先ずありきで総ての制作活動が開始されたのだ。しかも限定された場所、3日間という限定された時間など衣装やセットが余り必要でない要素が多い。こうして高々1000万ドルという破格の制作費でこの作品が出来上がったというわけ。結局興行成績は6000万ドル以上を稼いだのであった。
 そうして究極とも言えるSFXで仕上がった映像は実に素晴らしい。高層ビルの屋上から眺めるロスの街も美しいが、そこにエイリアンの宇宙船が下りてくるシーンなどはぞくぞくするほど見事である。誤解を恐れずに言ってしまえばそれだけでお話なんかどうでも良くなるのだ。これこそがストラウス兄弟の「狙っていたこと」なんであろう。事実エイリアンの襲来などホラーSFの定番テーマの部分は「当たり前」過ぎて退屈ですらあるのだ。SFXに徹底的に拘ったらどういう作品になるかを如実に表現せしめた秀作である。
 因みに全くの蛇足であるが冒頭のパーティのシーンでは頻繁にマルガリータ・グラス(シャンパングラスのような平板だが途中で括れがある)が出てくる。これがわが国では中々見つからなかったのだが、つい先日Mデパートで発見し直ちに求めたところ、上記のシーンでは正に外国で使用しているのと寸分違わないことが確かめられたのであった。ということで、この映画は劇場で見て聴くことがポイントではあるが、次回DVDなどを用いて自宅で見る機会があればパーティ参加気分ということでマルガリータを呑みつつ鑑賞すれば臨場感満点!かも知れない。

テーマ : 特撮・SF・ファンタジー映画
ジャンル : 映画

スーパー8

スーパー8(2011年米国映画)
 S・スピルバーグとJ・J・エイブラムスがタッグを組んだという話題作であります。しかしこのお二人さんのビッグネームを頼りに観にいった方々は(多分)完全にうっちゃられたでありましょう。
 米国片田舎の駅で起きた列車事故から逃げ出した正体不明のクリーチャー(怪物)。たまたま駅で8ミリ映画を撮影していた子供たちのカメラに「それ」は写っていた。なんていう出だしが実は全くワクワクしないのだ。絵空事と判っていてもスピルバーグの「ジュラシック・パーク」やエイブラムスの「スタートレック」の始まりはセンス・オブ・ワンダーに満ち溢れて期待感大なるものがあった筈である。
 この原因は二つある。第一点は「映画を製作する子供たち」という視点である。8ミリを持っていた人は「家族の記録」がその使用範囲の殆どであったと思われる。「映画を製作する」人は極めて稀だった筈である。それは普通の(善良なる)家庭の子供たちが「一般的にすること」なんだろうか?正直言ってJASONはこの楽しみ方に入り込めなかった。つまりこれらのシーンは総て浮いてしまったのだ。都合の悪いことにこの偉大なるフィルムメーカーのお二人さんがその昔にこの8ミリの「楽しみ方」を十分堪能し、それゆえ意気投合してこの作品を企画したという。要はこの8ミリ映画製作のシーンに関しては(お二人さんが)余りに没頭し過ぎた結果、荒っぽい表現になってしまったのだ。子供たちの演技が自然体で素晴らしいのが裏目に出た感じである。8ミリ映画製作のシークエンスはもっと拘って、オタクっぽく、怪しく、危なく作って欲しかった。
 原因の第二点は映画の基本である「対決の構図」が不明瞭なことである。子供たちが善人であるとして、では悪役は誰なのか。唐突に現れる軍隊?クリーチャー?それともエリア51の陰謀?と訳が判らないのであります。一方、破壊シーンはこの強力コンビのお家芸ともいうべき内容だから実に素晴らしい。列車事故からラストの宇宙船?までの破壊破滅シーンの数々は実に丁寧に作りこまれている。しかしその破壊シーンそのものが子供たちの映画製作を中心としたストーリーの中核とどうしても違和感が生じてしまうのだ。思い切って子供たちを「悪ガキ」かなんかに設定した方がお話にリアル感が出たかも知れぬ。ファンとしては失望するしかない作品であります。

テーマ : 特撮・SF・ファンタジー映画
ジャンル : 映画

ファイヤーウォール

ファイヤーウォール(2006米国映画)
 御歳64歳!?のハリソン・フォードのサスペンス・アクションであります。銀行のセキュリティーを担当するジャックに魔の手が忍びよる。同僚(これも悪玉の一味)から紹介された男はセキュリティーを破って大金を転送するように要求する。実は仲間が既にジャックの家庭に侵入し家族を人質にとってしまっていたのだ。外部との連絡は不能で孤立したジャックの打開策はあるのか?と中々サスペンスフルで盛り上げてくれる
 一方、ジャックの秘書が唯一味方となって大活躍するのだが、実はこの俳優はメアリー・リン・ライスカブといって大ヒットテレビドラマ「24」のクロエ役の人。つまりジャック(奇しくも主人公は24と同じ名前!)をサポートすることにかけてはこれ以上の適役はおらんがなもう、というわけ。監督リチャード・ロンクレインは手際のよい演出で見せるのだが、ハリソン・フォードがもう“ご老体”なのが分って仕舞うのが何故か悲しい作品でした。

テーマ : アクション映画
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プロフィール

JASON

Author:JASON
はじめまして。JASONと申します。ホラー映画が大好きで放映される作品は大概録画して観ています。時間が許せば劇場にも足を運びますが、ことホラー映画に関して言えば米国で公開された数の十分の一くらいしか我が国で公開されないのが残念です。因みにハンドルネームのJASONは御存じ13金のシリーズから取ったものです。さて小生の他の趣味ですが楽器では習い事レベルですが、クラシックのヴァイオリンとジャズピアノを奏します。またカクテルに興味があり、冬はマンハッタン、夏はマルガリータなどを作って楽しんでいます。更に ホームページギャラリー「チェリーとジャンヌ」を公開中です。黒猫チェリーと白猫ジャンヌが登場するイラストストーリーとギャラリーの二本立てになっています。見て頂いた方々のご感想や意見交換などをホームページつくりに反映していきたくよろしくお願いします。なお、URLはhttp://parnassum.web.fc2.com/です。

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