発表会の曲(第17回)

(第17回 アイ・ゲット・ア・キック・アウト・オブ・ユー)
 御大フランク・シナトラが歌って1950年代に大ヒットしたコール・ポーターの佳曲である。それをオスカー・ピーターソンが「シナトラ・ソングブック」なるアルバムで採り上げたのが全音の楽譜で出版されている。曲自体は言わずもがなの名曲なので詳しくは述べないが、ピーターソンはブロックコードを多用し、しかもスイングしつつ別旋律とも言えるアドリブを展開しておる。楽譜があるから大丈夫というのは全くの妄想であって、この再現に大変苦労した。つまり右手がメロディ、左手はコードのバッキングというパターンは敢え無く解体され、両手で音楽を総合的に表現するというより高度な次元が要求されるのだな。
 因みに年末の発表会向けてこの曲をレッスンしだした頃にWOWOWでサンセット77なる大昔の米国製テレビドラマがデジタルリマスターで始まった。実はこの番組のサイド・テーマがこの曲であって、演奏スタイルを色々変えて番組のバックに流れている。フランキー・オルテガ・トリオの極めてスインギーな(ナイトクラブにぴったしの)演奏も実にエキサイティングなのだが、白眉は当時のポップス歌手ジョニー・ソマーズがオルテガ・トリオをバックに唄うシーン。バースを省き、いきなりアップテンポのアドリブから始まる場面には度肝を抜かれたものだ。
 こうしたシンクロニシティ(同時性)を感じながら発表会は無事終了したのだが、その翌日にオスカー・ピーターソンの訃報を聞いてこれまた唖然としたものだ。(この項最終回)
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発表会の曲(第16回)

発表会の曲(第16回 イット・ジャスト・ゲット・トゥー・ビー)
 スリー・サウンズなるピアノのコンボが居る。わが国ではジャズの人気が下降しているのもあって、ブルーノートで10枚以上のアルバムを出しているにも関わらず殆ど採り上げられる機会の無い地味な存在である。しかしそのブルース・フィーリング溢れる演奏は正にソウル&ゴスペルなんですな。
 そのリーダー&ピアノを担当しているのがジーン・ハリス。惜しくも数年前に他界してしまったが、彼の指先からはノリノリの音楽が溢れていたのだ。そのハリスが自作自演でアルバムタイトルにもなったのがこの曲である。コード進行はブルースというより普通のポピュラーミュージックのそれであって実に親しみ易い構成になっている。アドリブになるとそれこそコテコテのソウル&ゴスペルになり、丁度痒いところに手が届くみたいな「待ってました」感覚に囚われる。この曲もラムゼイ・ルイス同様、反復音などに細かい音がぎっしり詰まっているので採譜(とその再現)が苦労であった。

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発表会の曲(第15回)

(第15回 メリークリスマス・ベイビィ)
 作曲者チャーリーズ・ブラウンは1940年代に米国はミシシッピィあたりで活躍した黒人プレーヤーらしい。レイ・チャールズの自伝的映画「レイ」では若きレイが録音や演奏会の合間に彼の曲を弾いている場面が出てくる。当時はかなりの有名人だったようだ。
 ブルースの構成を採っているが、基本コンセプトは今風のラップの如く「語り」である。これをラムゼイ・ルイスが1960年代のクリスマス・アルバムに採り上げたのだが、もうコテコテの演奏で一発で虜になってしもうた。ご存知「ジ・インクラウド」で一躍時代の寵児となった彼の黒いフィーリングが堪らない。
 で、楽譜などは無いので採譜から始まったのだが、音が細かく詰め込まれており、解読するのが結構大変であった。メロディやコードは極めてシンプルなのだが、音の無い「間」とか(同一音を)細かく打鍵するとかに「ソウル」が必要なわけで、機械的に弾ける(弾けたとして)だけではあかんのである。
 テーマがあり、アドリブでコテコテに展開し、そのまま盛り上げ、最後はキメ節で終わるという展開はモーツァルトの変奏曲によくあるパターンそのもの。しかしポピュラーミュージックの場合も実は全く同一であることに気が付いて大げさに言えば愕然としたものである。

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発表会の曲(第14回)

(第14回 タイアード)
 レッド・ガーランドはプレステッジ傘下のマイナー・レーベル「Moods(ムーズ)」に何枚か録音を残している。どちらかというと肩の凝らない、リラックスしたジャズというのがコンセプトで、コンガを加えたり、色々と工夫が凝らされている。
 そんな中で彼としては珍しい部類であろうピアノ・ソロのアルバム「アローン・ウイズ・ザ・ブルース」に入っているのがタイアードという曲。作曲はマーガレット何とかという白人女性。けだるい感じのブルースだが、どことなくおちゃめな部分もあり、ジャズよりもポピュラーに近い。こうした1950年代の米国の曲はジャズとかラテンとか区分できない、まさにポピュラー(汎用的)な味わいがある。
 この曲の特徴はスライド奏法といって、左手が低音構成のコードと中音?構成のコードとの二つをリズムに合わせて行ったりきたりするもので、これが曲想に関わってくるのだから相当に難儀したものである。発表会ではグランド・ピアノ一発で弾かなくてはならない為、レッスンもグランド・ピアノのある部屋を指定するので結構手間ではあった。

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発表会の曲(第13回)

(第13回 M・スクワッド)
 1950年代後半には米国で様々な犯罪(クライム)テレビドラマが作られたが、わが国では殆ど放映されなかった番組に「特捜M」というのがあった。主演の刑事はリー・マービンであったそうな。
 その番組テーマ曲を破格の100ドルで請け負った大御所カウント・ベーシーは約束の期日ギリギリになって、コンマス(カウントベーシー楽団の)のサド・ジョーンズに鼻歌で唄って聞かせ、その場でテキトーに演奏したというエピが残っている。ドラマの主題歌だから第一コーラス程度の長さ?があれば良いし、価格も安すぎるというのがそのエピの根底にあるわけ。
 これをレッド・ガーランドが「レッド・イン・ブルースビル」なるアルバムで紹介し、ライブアルバム「アット・ザ・プレリュード」でも弾いている。余程気に入ったのでありましょう。曲はシンプルの極地とも言うべき構成でブルースのコード進行が忠実に守られている。だから聞かせどころは当然アドリブとなる訳で、これが苦労した。勿論ガーランドの演奏を参考にはしたが、自らが弾ける程度のアドリブにするとなると結構難しい。しかし結果としてかなり納得のいくアドリブが完成した。これはやはりノリが一番であって何度もブルースコードを聞き倒した成果とも言える。
 発表会当日は司会の方にやけに気に入って貰った記憶がある。

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プロフィール

JASON

Author:JASON
はじめまして。JASONと申します。ホラー映画が大好きで放映される作品は大概録画して観ています。時間が許せば劇場にも足を運びますが、ことホラー映画に関して言えば米国で公開された数の十分の一くらいしか我が国で公開されないのが残念です。因みにハンドルネームのJASONは御存じ13金のシリーズから取ったものです。さて小生の他の趣味ですが楽器では習い事レベルですが、クラシックのヴァイオリンとジャズピアノを奏します。またカクテルに興味があり、冬はマンハッタン、夏はマルガリータなどを作って楽しんでいます。更に ホームページギャラリー「チェリーとジャンヌ」を公開中です。黒猫チェリーと白猫ジャンヌが登場するイラストストーリーとギャラリーの二本立てになっています。見て頂いた方々のご感想や意見交換などをホームページつくりに反映していきたくよろしくお願いします。なお、URLはhttp://parnassum.web.fc2.com/です。

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