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季節の音楽 長月

シアリング
季節の音楽 長月 
 今月はジョージ・シアリングの「九月の雨」を取り上げる。ジョージ・シアリングは盲目であるが息の長いピアニストである。1940年代から自身のトリオでスイングスタイルの演奏をしていたが、1950年代にクインテット構成となり、特にヴィブラフォンを使った点がユニークであった。即ち、ピアノ、ヴィブラフォン、エレキギターのユニゾンから醸し出される音色は、当時クールジャズとして正に一世を風靡したものだ。その頃の大ヒット作に自作自演の「September In The Rain(九月の雨)」がある。この曲を聴くと真夏の暑さが過ぎ去ったある日に窓ガラスに滴る雨の様子が浮かんでくる。空気全体に落ち着きが戻ってきたみたいで実に感傷的である。
 その昔に日立が提供していた「ミュージック・イン・ハイフォニック」というラジオ番組があって、この季節になると殆ど必ずこの曲(というかアルバム)を流していたものだ。現在はMGM時代のシアリングということでこの時期の録音を集めたCDがありその全貌が聴ける。確かスイング・ジャーナルで大賞を採った名盤である。
 因みに彼は1990年代にコンコード・ジャスフェスティバルで来日している。その時はピアノソロだったが「さくらさくら」をテーマにした曲を披露して大サービスしていた懐かしい記憶がある。
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季節の音楽 葉月

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季節の音楽 葉月
 季節の音楽(葉月)はグレイト・ジャズトリオの「グレイト・トーキョー・ミーティング」を採りあげる。ピアノがハンク・ジョーンズ、ベースがロン・カーター、ドラムスはトニー・ウイリアムスという超豪華メンバーのピアノトリオがこのグレイト・ジャズ・トリオだ。
1970年代後半に登場するやそのダイナミックな演奏でたちまち大ヒット。その最たるものが1976年に制作されたビレッジ・バンガードに於けるライブアルバムだ。ジャケットデザインが大リーグの試合の写真であって、その熱気そのものが伝わってくるようであった。その後同様のライブアルバムが第二作と続き、更に「マイルストーン」「枯葉」などスタンダードの曲をモチーフにした数種類のアルバムが製作された。
 そして1978年に東京のスタジオで録音されたのがこの「グレート・トーキョー・ミーティング」である。全編メンバーのオリジナル曲という当時としてはかなりの異色作であるが、中でもハンク作曲の「トゥー・デスティニー」はピアノトリオの迫力を十二分に発揮した優れた曲であり演奏だと思う。実は当時のFM人気番組「ジェットストリーム」の「私のレコードアルバム」で紹介され知ること得たのであるが、それだけポピュラリティを持ったアルバムと言って良いだろう。 
 さてアルバムのジャケットデザインは東京の高層ビルをデザインしたシュールなもので、これがこの暑い季節に聞くと不思議と涼しくなったものである。

季節の音楽 文月

ゲッツ
季節の音楽 文月
 季節の音楽 文月はボサノバを採り上げる。だが、ここで言うボサノバはかなり限定されている。ジャズ・レーベルのVerbにその元が潜んでいるのだ。実はNHK-FMの軽音楽番組で1981年の夏にボサノバを特集した時があって、その殆どがVerbのアルバムであったのだ。当時は全てがLPであったから、放送されたアルバムを実際には後年少しずつレコード買い漁っていった。
 中でも最初に買ったのが後述するワルター・ワンダレイの「サマーサンバ」であった。だから今でもシーズン到来とばかりに先ず初めに聞きだすのはこのアルバムでありサマーサンバなのだ。さてそのVerbであるが、敏腕プロデュサーであるクリード・テイラーがABCから移籍して直ちに創り上げたのが南米のサンバとジャズをミックスしたボサノバと言われている。大ヒットアルバム「ゲッツ・ジルベルト」(添付写真)は1964年のグラミー賞を採ったのだからその勢いが知れるというものだ。このアルバムに参加しているのはA・ジルベルト(Vo)、J・ジルベルト(Vo)、AC・ジョビン(Pf)、S・ゲッツ(Tsax)、であって夫々がその後沢山のアルバムを輩出しブームを支えた。
 小生の好んで聴くアルバムは以下の如し。先ず「サマーサンバ」(Org:W・ワンダレイ)。ワンダレイのソウルフルなオルガンが心地良く暑さを忘れさせてくれる。「イパネマの娘」(Pf:AC・ジョビン)。ジョビンの第一作だがC・オーガマン指揮のストリングスをバックにシンプルなピアノの音色が心を和ませてくれる。「ジャズ・サンバ」(Asax:S・ゲッツ、G:C・バード)。名曲デサフィナードなどが軽快なリズムで楽しめる。このサックス、ギター、ベース、ドラムスの形態は大好評を以って支持され、以降「ジャズ・サンバ・アンコール」「ゲッツ・アルメイダ」と続いた。次は「オルフェの唄」(G&Vo:R・ボンファ)。名作オルフェの唄(カーニバルの朝)はこのヴァージョンが最も有名である。ボンファの極めて土着な演奏スタイルが注目を集めた。「ソフトリー・ボサノバ」(G・マクファーランド)。これはやや異色。スキャットでビートルズの名曲をボサノバのアレンジで聞かせる。マクファーランドは名アレンジャーなのだ。
 更にはAC・ジョビンの「潮流」「ウエーヴ」、R・ボンファの「ボンファ・マジック」、など様々なアルバムが犇いている。更にワルターワンダレイは(多分)来日時にキングに吹きこんだアルバムがあり、これはその後再発売もCD化もされてないが、「ウエーブ」や「ブラジル」といった名曲をどちらかというとリラックスした感じで演奏しており、これもまたカセットで録音して愛聴している。

季節の音楽 水無月

バレル
季節の音楽 水無月
 季節の音楽 弥生はケニーバレルの「ブルージー・バレル」を採り上げる。ケニーのギターは元々ブルース感覚に溢れているのだが、それに加えてブルージーと名付けているのはブルースを目一杯掘り下げるという意味があるのかも知れぬ。
 共演メンバーがこれまた素晴らしくテナーサックスがコールマン・ホーキンス、ピアノがトミー・フラナガンと来る。第一曲の「トレ・パラブラス」はラテンの名曲で勢いがある。そのどことなく郷愁を帯びた(浪花節の如き)出だしがよろしい。そして興が乗ってきたところでホーキンスのテナーがこれまた「俺の番だぜ」と絡んでくる。まさに堪らない瞬間だ。ケニーの作品としては「ミッドナイト・ブルー」等の名盤に隠れて余り話題にならないようなのが残念である。
 今から30年以上昔の今頃にブルーノート東京でケニーのライブを観たことがある。その頃のブルーノート東京は確か出演者の着替える場所が無くて、店の入り口から入って来たケニーがステージに直接上がり、やにわにスプリングコートを脱ぎだし、無造作に椅子に掛けたかと思うとギターをアンプに繋いで弾きだしたものだ。水無月の夜のライブとして今でも鮮明に覚えている。

季節の音楽  皐月

クルーニー
季節の音楽  皐月
 皐月はローズマリー・クルーニーの唄う「バークレイ・スクエアのナイチンゲール」を採りあげる。これは、作曲がマニング・シャーウィン、作詞がエリック・マシュウィッツのジャズの名曲である。曲の題名はロンドンの地域と鳥の名前である。ロンドンの中心街のメイフェア地区にあるバークレイ・スクエア街路が舞台であってそこで恋人たちが出会い、楽しいひと時を過ごし、そして別れていく。その度にナイチンゲールが囀っていた。そこでバークレイ・スクエアでナイチンゲールの声を聞くと去りし日が蘇ってくる・・とまあそうした若干ノスタルジックな曲想である(因みにナイチンゲールはその名の通り夜に啼くらしい)。曲はバースもリフレインも極めてきっちりと作られフェイクを許さない「頑丈さ」なのだが、それが不思議と曲の持つ「儚さ」を表していて心地良い。
 これだけの名曲だから古今東西のジャズ・ヴォーカリスト達が歌い、また演奏もされている。JASONのお気に入りはローズマリー・クルーニーのアルバム「シングス・バラッズ(Sings Ballads)」に収録されているものだ。殆どギターのエド・ピッカードとのデュエットというのも嬉しいが、クルーニーの太く安定した歌声はこの曲の「頑丈さ」を十二分に歌い上げており実に感動的だ。クルーニーという人は惜しくも先年亡くなってしまったが、晩年はテレビドラマ「緊急救命室ER」のファーストシーズン第二話に「ボケた老歌手」として主演している。因みにこの出演は親類関係にあるジョージ・クルーニー(ERの小児科医役)のつながりという説が一般的だ。また更なる蛇足ながらこの時の日本語吹き替えはあのペギー葉山であったそうな。
 さてこの演奏を知ったのは「スイングジャーナルが選ぶコンコード・ベスト」なるコンピュレーション・アルバムである。そのトップバッターを飾っている訳だがそれを聞いて一発で気に入って仕舞い、本体のアルバム「シングス・バラッズ」を即ゲットした。ここには皐月晴れを連想させる清々しさが満ちていると思う。
プロフィール

JASON

Author:JASON
はじめまして。JASONと申します。ホラー映画が大好きで放映される作品は大概録画して観ています。時間が許せば劇場にも足を運びますが、ことホラー映画に関して言えば米国で公開された数の十分の一くらいしか我が国で公開されないのが残念です。因みにハンドルネームのJASONは御存じ13金のシリーズから取ったものです。さて小生の他の趣味ですが楽器では習い事レベルですが、クラシックのヴァイオリンとジャズピアノを奏します。またカクテルに興味があり、冬はマンハッタン、夏はマルガリータなどを作って楽しんでいます。更に ホームページギャラリー「チェリーとジャンヌ」を公開中です。黒猫チェリーと白猫ジャンヌが登場するイラストストーリーとギャラリーの二本立てになっています。見て頂いた方々のご感想や意見交換などをホームページつくりに反映していきたくよろしくお願いします。なお、URLはhttp://parnassum.web.fc2.com/です。

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