季節の音楽 皐月

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季節の音楽  皐月
 皐月はローズマリー・クルーニーの唄う「バークレイスクエアのナイチンゲール」を採りあげる。これは、作曲がマニング・シャーウィン、作詞がエリック・マシュウィッツのジャズの名曲である。曲の題名はロンドンの地域と鳥の名前である。ロンドンの中心街のメイフェア地区にあるバークレイ・スクエア街路が舞台であってそこで恋人たちが出会い、楽しいひと時を過ごし、そして分かれていく。その度にナイチンゲールが囀っていた。そこでバークレイスクエアでナイチンゲールの声を聞くと去りし日が蘇ってくる・・とまあそうした若干ノスタルジックな曲想である(因みにナイチンゲールはその名の通り夜に啼くらしい)。曲はバースもリフレインも極めてきっちりと作られフェイクを許さない「頑丈さ」なのだが、それが不思議と曲の持つ「儚さ」を表していて心地良い。
 これだけの名曲だから古今東西のジャズ・ヴォーカリスト達が歌い、また演奏もされている。JASONのお気に入りはローズマリー・クルーニーのアルバム「シングス・バラッズ(Sings Ballads)」に収録されているものだ。殆どギターのエド・ピッカードとのデュエットというのも嬉しいが、クルーニーの太く安定した歌声はこの曲の「頑丈さ」を十二分に歌い上げており実に感動的だ。クルーニーという人は惜しくも先年亡くなってしまったが、晩年はテレビドラマ「緊急救命室ER」のファーストシーズン第二話に「ボケた老歌手」として主演している。因みにこの出演は親類関係にあるジョージ・クルーニー(ERの小児科医役)のつながりという説が一般的だ。また更なる蛇足ながらこの時の日本語吹き替えはあのペギー葉山であったそうな。
 さてこの演奏を知ったのは「スイングジャーナルが選ぶコンコード・ベスト」なるコンピュレーション・アルバムである。そのトップバッターを飾っている訳だがそれを聞いて一発で気に入って仕舞い、本体のアルバム「シングス・バラッズ」を即ゲットした。ここには皐月晴れを連想させる清々しさが満ちていると思う。

テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

バベットの晩餐会

(JASON通信アーカイブ その7)
バベットの晩餐会(1992年4月にWOWOWにて視聴)
 1989年のデンマーク映画。これが滅法面白い。北欧の寒村に静かに暮らす老姉妹の下に大陸から女が流れ着く。そのバベットが下女として勤めて20年。料理にたけた彼女は実はパリのレストランの女料理長であったのだ。しかしそれは今は昔の物語。ところが、彼女の唯一の楽しみが「宝くじ」で遂に一等の1万フランを仕留めて仕舞う。
 さてここからが本題である。老姉妹の父親の何十年回忌かの記念の夜の晩餐会を総て一人でやらしてくれと頼む彼女は一週間かけて大陸へ材料を買い出しに出掛ける。そして、浜辺に運ばれて来た数々の材料、大きな氷柱、海亀、鶉、そしてアシスタントの少年。ここいらから観客はワクワクしてくるのだが、同時に演出の妙でもあるのだな。
 そして当日の夜である。パリの最上級レストランのディナーを再現する席に招かれたのは村の人々と村出身のなんとか将軍。この将軍にしかメニューの素晴らしさが解らないという設定になっていてそれがたまらん。各料理には其々にワインが異なり、パペットがアシスタントの少年にそれをいちいち指示する様子がたまらん。料理は別段豪華絢爛というわけでは無く、トリフやキャビアなんかをふんだんに使って味で勝負している様が手に取るように解るのもたまらん。勿論こうした場面以外にも表面的ではあるが寒村の人々をサラリと描いていて心温まる仕上げに成っておる。つまりは大人の寓話なんであります。傑作と言ってよいでしょう。
 余談ではあるが北浜の三越劇場でこの作品が公開されたおり、劇場に隣接するレストランでは毎日先着10名に限り映画と全く同じメニューを確か3万円くらいで提供していた記憶がある。それも今は昔の事と成って仕舞ったのであるが。
(尚、2012年現在北浜の三越も既に無く、本当に今は昔の物語となって仕舞ったのだ)

テーマ : お気に入り映画
ジャンル : 映画

カルトQ

(JASON通信アーカイブ その6)
カルトQ(1992年3月付)
 異色のクイズ番組。以前は深夜に放映されていたという。クイズ番組といえば昨今は芸能人が出演し、レポーターが海外に出掛けて行き、この品物は何でしょう形式みたいなまあ他愛の無いヤツとか、大陸横断ウルトラクイズと称するモンとか、正解がごく一般的なものが多かった様に思う。しかし、一億総オタク化した今、そんな生ヌルイ問題では皆の衆が承知しなくなってしまった。いわば、超マイナーな問題とオタク族との対決、これがキーワードなんである。つまり「マイナー志向」が市民権を獲得しつつあるのだ。
 さて本題の「カルトQ」である。毎回テーマが決まっており、予選まで行われるという盛況ぶりである。テーマは「デパート」「ラーメン屋」というごく一般的な題材(これは東京周辺に限っているのがイマイチなんであるが)から、ついに出ました「サンダーバードファミリィ」(これはゲーリィ&シルビア・アンダーソンが生み出したスーパーマリオネーション作品、即ち「スーパーカー」「宇宙船XL-15」「スティングレイ」「サンダーバード」「キャプテンスカーレット」「ジョー90」と実写作品「謎の円盤UFO」「スペース1999」を指す)とか、「手塚治」とか、いかにもと言った場合など様々。当然回答者もフツーらしい人(?)とアブナイ人種とに大別される。サンダーバードでは異常な中学3年生に番組は乗っ取られたし、つまりは出題者と回答者の激しいバトルでもあるのだ。問題が出され回答がされる。と同時に司会者が何も言わなくても回答者達が回答の解説をとうとうと始めるのである。もう番組はハチャメチャに展開して誠に面白い。オタク族の井戸端会議なんである。
 と思えばまた、「エルビス・プレスリー」の回では「レコードBlue Hawaiiに収録されている曲目を全部答えなさい」という超難問に52歳の主婦がゆっくりと丁寧に全12曲をしかも順番に(!)答え、司会の女の子は感動で目を潤ませてしまうてなジーンとくる場面もあるのだ。とにかく注目のトレンド番組であります。

テーマ : 懐かしいテレビ番組
ジャンル : テレビ・ラジオ

森の小さな料理店

( JASON通信アーカイブ その5)
森の小さな料理店・MBSスーパーテレビ特集(1992年6月視聴)
 究極のグルメとは何であろうか。世にも貴重な珍味にありつく事だろうか。否である。浜松にある仏料理の店が今回の主人公である。彼(シェフ)は2年先まで予約が詰まっているという現業を打ち捨てて、静岡の山の中に入って仕舞う。彼の望みは唯一つ。新鮮な材料で料理を作る事。勿論、農薬なんて論外である。農家の人々が自ら食べる野菜に農薬を使っていないのは周知の事柄である。そこに目を付けたのである。
 1年間の準備期間を置いて、文字通り山の中の小さなレストランを開店するまでがこの番組の骨子である。まず、近隣の農家の人々に打ち解けなければならない。畑を借りてクレソンを植える。自然環境を利用したヤマメの養殖場を訪ねる。村祭りにも積極的に参加する、等々。有機栽培(即ち、農薬を使わない)のジャガイモと近くの牧場で調達した採れたての牛乳でポテトスープを作り、ジャガイモをくれた農家に持って行く。ついでにレタスのサラダも付ける。そして農家の人にスプーンとフォークの使い方を教える。農家の人は「こんな美味しいモン食べたこたないね」と顔をほころばせる。この辺りはもろ「パペットの晩餐会」であって中々面白い。
 さて、いよいよレストランオープンの日。前菜は「窓からの眺望」である。緑が眩しい。天然のシイタケを挟んだパイ、レストラン裏手の燻製小屋で作った自家製のローストポークのスライスを加えた野菜サラダ、メインディッシュは養殖の「マナゴ」(勿論採れたて)のムニエル。パンは近くにパン屋さんがないからこれも自家製。デザートは朝届いた特大のメロンを刻んだフルーツポンチ。総てが有機栽培、自家製、手作りである。これこそ究極のグルメである。別段高価な材料を使っている訳では無い。ただ食物本来の育ち方をした新鮮な材料というだけである。しかしこうした材料を使った料理がごく自然に食べられる時代はもうとっくの昔に過ぎ去ってしまった。だからグルメなんである。

テーマ : おひとりさまグルメ紀行
ジャンル : グルメ

季節の音楽(卯月)

季節の音楽(卯月) チャーリー・ヘイデンのノクターン
 今回はいつものパターンに戻り、季節の音楽(卯月)をお送りする。で今回はチャーリー・ヘイデンのアルバム「ノクターン」を採り上げる。
 1970年代から今に至るまで永い間活躍しているジャズベーシストであるチャーリー・ヘイデンはリズムセクション(即ちドラムス&ベース)としてのアルバムは余り無い。反面ピアノとのデュオアルバムではケニーバロンとの「Night and the City」やハンクジョーンズとの「Come   Sunday」(ハンクの遺作となってしまったが)などが名盤の誉れが高い。またパットメセニーとのアルバムはグラミー賞を獲得した。
 そうした八面六臂の活躍をしているヘイデンが2000年に自らプロデュースしたアルバムがこの「ノクターン」である。アルバムコンセプトはキューバの夜、といっても我々には想像も付かないものだが、「南国の片田舎の夜の佇まい」とでも言ったら良いのだろうか。繁華街の道路は違法駐車の列、街路に漏れる酒場の光からはその喧騒が溢れてきそうなのだけれど満天の星空に圧倒されてか辺りは奇妙な静寂が支配して、虫の音すら聞こえてきそうな気配が漂う。この感覚は実に貴重で聞いていると心安らかになってくる。共演ミュージッシャンとしてピアノはゴンサロ・ルカルカバ、リズムはイグナシオ・ベローアということで二人ともキューバ出身である。ゲストにはサックスのジョー・ロバーノ、ギターのパットメセニーというところだ。
 先月弥生は季節に未だ寒々しい感覚があるが故にスイングジャズなどの景気の良い(ホットな)音楽が似つかわしいのだが、卯月になると世間が極めて賑々しくなってくる。そうなると反対に静寂溢れる音楽についつい傾いてくるのだ。その点この「ノクターン」は絶好であっていわば花冷えのする春の宵にはぴったりだと思う。

テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

プロフィール

JASON

Author:JASON
はじめまして。JASONと申します。ホラー映画が大好きで放映される作品は大概録画して観ています。時間が許せば劇場にも足を運びますが、ことホラー映画に関して言えば米国で公開された数の十分の一くらいしか我が国で公開されないのが残念です。因みにハンドルネームのJASONは御存じ13金のシリーズから取ったものです。さて小生の他の趣味ですが楽器では習い事レベルですが、クラシックのヴァイオリンとジャズピアノを奏します。またカクテルに興味があり、冬はマンハッタン、夏はマルガリータなどを作って楽しんでいます。更に ホームページギャラリー「チェリーとジャンヌ」を公開中です。黒猫チェリーと白猫ジャンヌが登場するイラストストーリーとギャラリーの二本立てになっています。見て頂いた方々のご感想や意見交換などをホームページつくりに反映していきたくよろしくお願いします。なお、URLはhttp://parnassum.web.fc2.com/です。

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