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季節の音楽 霜月

J・ルーシェ
季節の音楽 霜月 
 霜月はジャック・ルーシェの「プレイ・バッハ」を取り上げる。「プレイ・バッハ」について正確に説明することはなかなか難しい。バッハの曲をジャズってやろうというコンセプトはその発端でしか無く、結果として曲の中にJ・ルーシェの洒落た感覚が満ちていなければならない。この感覚はヨーロッパのジャズに共通するものであって、正にファッションなんであろう。
 さて2000年のゴールドベルク変奏曲が大当たりしたせいか、J・ルーシェの昔のアルバムが翌年11月から次々とCD復刻されたことは誠に喜ばしい限りである。初版のジャケット装丁で#1~4までがリリースされた。一方海外では既にパリ・オランピア劇場の名ライブである#5と6が出ているが我が国では今のところ見送られているようで誠に残念。さて、録音は#1が1959年というから驚く。つまりは相当の年季が入っているという訳。名演「トッカータとフーガ ニ短調」は言わずもがなであるが、むしろ「パルティータ第一番」や「イタリア協奏曲」「2声のインベンション」なんかの方が変幻自在のリズム感があって楽しい。ブロック・コードを多用したどことなく現代音楽風な出だしの後に馴染みの旋律が登場するくだりなんか快調そのものである。  
 ライナーノーツにはルーシェ自身の「回顧エッセイ」が載っており、音楽学校を出たばかりの彼が仏デッカのオーディションを受けに行った際の状況が書かれている。クラシックの小品などをさらりと弾いた後に、冗談半分に奏した「プレイ・バッハ」を聞いた審査官(仏デッカの幹部)は、直ちに「それ買い!」てな調子ですぐさま契約、録音となったものらしい。しかもリリース後ヨーロッパで大ヒット。一躍寵児となったという。我が国でも1965年頃にはLPがリリースされ、かなり有名となった。その頃のレコードマニアの棚には必ずあったものである。面白いのは、例のグレングールドのゴールドベルク(クラシックの方の話です。念のため)が1957年録音にも拘らず我が国に紹介されたのは10年以上後、つまり「プレイ・バッハ」より後になった。そのため、グールドを称して「まるでジャック・ルーシェみたいなビートの効いた演奏」などど紹介されていたのだ。
 この「プレイ・バッハ」も初めて聞いたのが丁度今頃の大学の学園祭であった訳で、この学園祭のレコードコンサートは小生にとって「音楽事始」みたいなもんなのであった。そう言えばこのコンサートに持参されたレコードは殆どが輸入盤であり、そうしたレコードが存在することもその時初めて知ったのであった。
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季節の音楽 神無月 

シークレット
季節の音楽 神無月 
 季節の音楽 神無月はパット・メセニーの「シークレット・ストーリー」を採り上げる。フュージョンギタリスト(ってジャンルがあるのかどうか知らないが)パット・メセニーの1986年のアルバムである。いわゆるコンセプトアルバムであってかなりの大曲である。出だしからコーラスによるベトナムの民族音楽を使用して聞くものを直ちに異世界に誘うという寸法。またアコーディオンを効果的に使いセンチメンタルな趣を醸し出している。
 実はこのアルバムを初めて聞いたのは、今は無きBSデジタルラジオの草分け的存在であったセント・ギガ。開始早々のこの局は静かな音楽+せせらぎの音を使い、アンビエントという新しいジャンルの音楽を創造したわけ。タイムテーブル(番組表)という概念をタイド・テーブル(潮の満ち引き)に変えてその地位?を確固たるものにしたのだった。丁度10月下旬ごろにシークレット・ストーリーの「Always in my life」が良く流れており、それで知り得たのであった。正に晩秋に相応しい感傷的な名曲である。

季節の音楽 長月

モーグ
季節の音楽 長月 
 季節の音楽 長月は「Y課長のコンピューターによるバッハ」を取り上げる。その昔にワルター・カーロスというシンセサイザー奏者が居た。オリジナルの作曲は余り無かったようで、1960年代から自作のシンセサイザー「モーグⅢ」を駆使して色々と試行錯誤を繰り返した結果、辿り着いたのがバッハの作品であった。確かコンピューター・バッハとか言う題名だったと記憶する。
 シンセサイザーとは電子音を出す機械をコンピューターで制御して色々な音を出す仕組みである。当然コンピューターにはデータを打ち込む必要があり、楽譜を解読して行う。シンセサイザーそのものにも音色始め色々と工夫がなされるという寸法である。
 閑話休題。30年以上も昔の話であるが職場であった研究所の内覧会が企画された。様々な研究成果を「デモ」という形で披露することになったのだが、小生の課は「テレビ美術館」と銘打って当時は大画面である37インチの高精細度モニターに絵葉書をスキャンした静止画像を流した。絵は主にデュフィなどの印象派であったが問題は「音」である。一枚一枚に一定時間のBGMを、それも確かマルチチャンネルで流すことにしたのだが、さてその音源に選ばれたのが当時課長であったYさんのコレクション。 
 これは彼自身がバッハの曲をコツコツとデータ化したものであって、これを使ってR社の最新型シンセサイザーを鳴らそうというわけである。殆どが平均律やインベンションとシンフォニアなどから採られていた。しかし、Y課長が使っていたシンセサイザーはこの新しいR社のものとは当然違うし、パートの楽器も異なる。よってここに楽譜を元に一度鳴らしてみて、場合によってはデータ(パート)の変更などをすると言う作業が発生した。即ちそれを担当したのが小生であって、職場、というか研究室の作業台に大々的にバッハの楽譜を広げ、モニターを聞きつつ、作業を進めたのだが周囲の研究所メンバーには極めて異様な光景に写ったことは想像に難くない。 
 9月の下旬に開催されたこの内覧会は大成功をおさめたのだが、このテレビ美術館は遂には商品化されずに終わっている。しかし、内覧会の休息室に置かれた37インチのモニターと周囲に流れるコンピューターのバッハは初秋に相応しい「新しい何か」を放っていたことは確かである。

季節の音楽 葉月

アポロ
季節の音楽 葉月
 季節の音楽 葉月はブライアン・イーノの「宇宙へのフロンティア」を取り上げる。ブライアン・イーノの属する音楽ジャンルを特定するのはかなり難しい。しかし、このアルバムだけを見れば「シンセならではの音(機械音等)を使った音楽」ではないだろうか。
 優れたドキュメンタリー映画である「宇宙へのフロンティア」はアポロ13号の月着陸を挟んだ言わば実写版宇宙映画である。画質は相当酷いが何しろSFXでは無い迫力を孕んでいて他の追従を許さない。こうした映像にマッチする音楽は当然旧来のものでは不足である。因みにキューブリックの「2001年宇宙の旅」は“作り物”ゆえにシュトラウスなどの既存の音楽と合う訳なんである。
さてこのサウンドトラックは一部、二部に別れ絶え間の無い旋律が延々と続く。途中でカントリー風、ジャズ風などが見え隠れするものの大体は機械音に近い「シュールな音」が続く。
 1990年頃の夏休みに入る前に職場の某君がこの作品のLD(レーザーディスク)を80インチスクリーンに映すという言わば映画会を就業後に企画。小生は早速参加してその映像と音楽に瞠目したものだ。某君はLDだけでなくLPも所有していたから早速カセットにダビングし直ちに愛聴テープになった次第である。またその頃は新幹線の出張の際に繰り返し聞いていたためか、夏の夕日のイメージが強い。

季節の音楽 文月

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季節の音楽 文月 
 季節の音楽 文月は“CTIオールスターズ・アット・ハリウッドボウル1973”を取り上げる。1973年7月23.日~24日にカリフォルニアのハリウッドボウルでCTI即ちクリード・テイラーが創設したジャズ&フュージョンレーベルのメンバーが揃って挙行した一大ジャムセッションがこれ。メンバーの顔触れ、演奏のクオリティなど正に空前絶後であって、当時発売のLP3枚分のレコードは正に怒涛のアルバムと言ってよい。
 小生は当時これまたNHK-FMのジャズ番組で一部を聴き、廉価版になったのをきっかけに一気にゲット。一枚目の第一曲は当時飛ぶ鳥を落とす勢いのジョージ・ベンソンが「夢のカリフォルニア」を熱演。ママズ&パパスの名曲というより、ウエス・モンゴメリーの同名大ヒットアルバムを意識しての選曲であることは明白である。そして二曲目はフレディー・ハバートの「ファーストライト」。これも彼のデビューヒットアルバムである。更にジミー・スミス、ハンク・クロフォード、ミルト・ジャクソン、グローバー・ワシントン・ジュニア、ボブ・ジェームス、ヒューバート・ローズなどの超豪華な顔触れが並ぶ。  
 恐らくクリード・テイラーはこのレーベルの立ち上げをこのコンサートで勢い付けたかったことは想像に難くない。何しろ編曲者ドン・セベスキーの12音階とか、ジャズ、ソウル、ロック、が程よくミックスされた快適な音楽、それがジャズ・フュージョンであった訳で、CTIはその総本山でもあったのだから。エスター・フィリップスもヴォーカルで参加し、ソウルフルな熱唱を提供している
プロフィール

JASON

Author:JASON
はじめまして。JASONと申します。ホラー映画が大好きで放映される作品は大概録画して観ています。時間が許せば劇場にも足を運びますが、ことホラー映画に関して言えば米国で公開された数の十分の一くらいしか我が国で公開されないのが残念です。因みにハンドルネームのJASONは御存じ13金のシリーズから取ったものです。さて小生の他の趣味ですが楽器では習い事レベルですが、クラシックのヴァイオリンとジャズピアノを奏します。またカクテルに興味があり、冬はマンハッタン、夏はマルガリータなどを作って楽しんでいます。更に ホームページギャラリー「チェリーとジャンヌ」を公開中です。黒猫チェリーと白猫ジャンヌが登場するイラストストーリーとギャラリーの二本立てになっています。見て頂いた方々のご感想や意見交換などをホームページつくりに反映していきたくよろしくお願いします。なお、URLはhttp://parnassum.web.fc2.com/です。

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